- 本データベースは東京文化財研究所刊行の『日本美術年鑑』に掲載された彙報・年史記事を網羅したものです。
- 現在、2019年/平成31(令和元)年まで公開しています。(記事件数
5,450 件)
1996年04月 アサヒビールの初代社長をつとめた山本為三郎(1893-1966)のコレクションを所蔵品の柱とする大山崎山荘美術館(京都市乙訓郡大山崎町字山崎小字銭原5-3)が7日に開館。本館は昭和初期の実業家加賀正太郎が自ら設計した英国風建築の山荘をアサヒビールが購入、修復したもので、これに安藤忠雄設計による新館が隣接している。柳宗悦らによる民芸運動を支援した山本為三郎は民芸派の作品のほか大津絵、泥絵、中国、李朝の古陶磁などを含む1200点におよぶ作品を収集しており、同館には民芸派の作品を展示する山本為三郎記念室が設けられている。
1996年04月 日本学士院(藤田良雄院長)は12日、総会を開き、学術の分野で優れた業績を上げた研究者11人に平成7年度日本学士院賞を贈ることに決めた。美術関係では長崎純心大学教授・九州大学名誉教授の平田寛(ひらた・ゆたか、65)が著書『絵仏師の時代』により日本学士院賞を受賞した。授賞式は6月上旬東京・上野の日本学士院で行われる。
1996年03月 日本芸術院(犬丸直院長)は22日、芸術の各分野で顕著な業績があった人に贈る平成7年度(第52回)の日本芸術院賞受賞者を内定した。恩賜賞・日本芸術院賞の第1部(美術)受賞者には岡田新一(68)(宮崎県立美術館など一連の建築設計に対し)、日本芸術院受賞者には洋画の奥谷博(61)(第62回独立展出品作「月露」など深みのある世界へ到達した作品に対し)、彫塑の橋本堅太郎(65)(第27回日展出品作「竹園生」など清純な詩情を謳歌した作品に対して)、工芸の大塩正義(62)(第27回日展出品作「樹相」など総合的な技能と芸術感覚のある作品に対し)、書の榎倉香邨(本名弘、72)(第27回日展出品作「流翳」など時間性を表現した作品に対して)が選ばれた。授賞式は6月3日に東京・上野の日本芸術院会館で行われる。
1996年03月 平成7年6月に提起された国立美術展示場の建設案を受けて、文化庁に設置された「ナショナル・ギャラリー(仮称)調査研究会」(平山郁夫座長)は、27日基本構想案をまとめた。我国の美術創造活動、および国際的な美術交流の拠点を目指し、公募団体展、国立館が企業と共同で主催する大型美術展などに使用するほか、国内外の美術情報収集と公開、教育普及活動の機能も合わせ持つ施設とする方針。建設予定地としては東京大学生産技術研究所、同物性研究所移転跡地が最有力候補としてあげられている。
1996年03月 芸術の各分野で昨年一年間に優れた業績をあげた人々に贈られる芸術選奨の受賞者が13日文化庁から発表された。美術関係では建築家高松伸(47)(「植田正治写真美術館」に対し)、立体造形作家滝川嘉子(「滝川嘉子・彫刻個展」などに対し)が芸術選奨文部大臣賞を、洋画家辰野登恵子(46)(本名 中登恵子)(個展「辰野登恵子 1986-1995」などに対し)、美術史家今橋理子(31)(著作『江戸の花鳥画 博物学をめぐる文化とその表象』に対し)が芸術選奨新人賞を受賞した。
1996年03月 文化庁は現行の東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の三国立博物館に加え、新たに国立博物館を設立する方針で「新構想博物館の整備に関する調査委員会」(座長・上山春平京都市立芸術大学学長)を中心に構想を固めてきたが、同委員会が14日に打ちだした「アジア諸地域との相互理解を文化財を通じて担うための拠点となる博物館として、九州に設置することが望ましい」とする中間報告を受けて、文部省は22日福岡県太宰府市を新博物館建設予定地に正式決定した。九州国立博物館(仮称)は「日本文化の形成をアジアの観点から捉える」ことを目指していく方針である。
1996年02月 画家安井曽太郎の画業を顕彰し具象的油彩画を対象に贈られる安井賞(安井曽太郎記念会など主催)の第39回目の選考が行われ、安井賞を小林裕児の「夢酔」が受賞することとなった。佳作賞は一居孝明「GOOD LEGEND(Ⅱ)」が受賞。「安井賞展」は東京池袋のセゾン美術館で開催された後、尼崎、尾道、秋田、帯広、福岡に巡回した。
1996年02月 優れた作品を発表してきた中堅の具象画家に贈られる小山敬三賞の第11回目の受賞者は独立美術協会会員で女流画家協会会員の原光子に決定した。また、「美術文化の国際交流事業に対する援助」により清春白樺美術館財団に140万円が贈られることとなった。
1996年02月 平成8年度の文化庁予算は「新しい文化立国をめざして(21世紀に向けて)」をテーマに、前年度比82億3800万円(12.3%)増の750億300万円とすることと決まった。阪神・淡路大震災を受けて、被害のあった重要文化財建造物、重要伝統的建造物保存地区の災害復旧に180億、耐震性能に関する具体的な指針の策定や文化財建造物の調査に4400万、地方公共団体が行う調査や発掘の一部補助に62億300万などが計上されている。また、今年度の特色として、文化による国際貢献および文化発信の推進を目指す諸事業を重視しており、具体的には国際的学術交流、海外での美術展、在外日本古美術品の修復協力などがあげられている。「新しい美術展示施設(仮称・ナショナル・ギャラリー)」の構想については、調査段階から基本計画の策定へ進められることとなった。
1996年01月 東京オリンピックが開かれ、東海道新幹線、東名高速道路開通など、高度成長期の象徴的なできごとが起きた1964年の美術を振り返る「日本の美術-よみがえる1964年」展が31日から東京都現代美術館で開催された。従来は1950年代、60年代と10年単位でとらえられてきた現代美術の動きを、一年間に注目することで検証する新たな視点の企画となった(~3月24日)。6月には50年代のなかでも特に顕著な出来事のなかった年にあえて光を当てる「1953年ライトアップ」展が目黒区美術館で開催され(8日~7月21日)、単年に注目する展観が相次いだ。
1996年02月 日本南画院所属の24作家の作品寄贈を契機に建設が具体化された大阪府守口市の市立現代南画美術館(守口市大宮通1-13-29)が1日開館した。鉄筋コンクリート二階建て、延べ床面積729平方メートルで展示室のほか資料室などを備え、南画を主要な対象とする特色ある美術館として注目される。
1996年01月 文化庁文化財保護部は阪神・淡路大震災の文化財(建造物)の地震による被害に鑑み、学識者の協力を得て「文化財建造物等の耐震性能の向上に関する調査研究協力者会議」を組織し、対策を検討してきたが、17日付け文化庁文化財保護部長通知「文化財建造物等の地震時における安全性確保について」に対して「文化財建造物等の地震時における安全性確保に関する指針」を各都道府県教育委員会宛に送付した。文化財建造物の修理・補強のみならず、日常の維持管理、環境整備、防災施設の充実、災害時の対応などについて具体的な指針を打ち出し、大規模災害から文化財を護る方向性を示した。
1996年01月 5年に一度、外国人を対象に贈られるベルギーのウジェーヌ・ベェ国際賞の受賞者に明治大学教授の森洋子が選ばれた。著作『ブリューゲルの全作品』など、長年のブリューゲル研究における業績が受賞対象となった。
1996年01月 フランスの近代美術作品を数多く所蔵するパリのオルセー美術館の優品180余点を展観する「モデルニテ-パリ・近代の誕生 オルセー美術館展」が14日から国立西洋美術館で開催された(~3月31日)。自然の呼び声、リアリスムとオリエンタリスム、近代都市、芸術と産業、アール・ヌーヴォー、セザンヌからナビ派へ、の6セクションで構成され、美術に反映された近代性を探る充実した展観となった。
1996年01月 優れた芸術活動をした個人・団体を顕彰する毎日芸術賞の1995年度の受賞者は3氏2団体に贈られることとなった。美術関係では陶芸家深見陶治(青白磁による造形「京都の美術 昨日・きょう・明日 16」展に対して)、写真家江成常夫(「まぼろし国・満州」「記憶の光景・十人のヒロシマ」の写真展と出版に対して)が受賞した。贈呈式は12日、如水会館で行われた。
1995年12月 世界遺産の登録を審議するためドイツ・ベルリンで開かれているユネスコ世界遺産委員会は6日、岐阜県大野郡白河村と富山県東砺波郡平村、上平村に残る「白河郷、五箇山の合掌造り集落」を文化遺産として「法隆寺地域の仏教建造物」「姫路城」「古都京都の文化財」が登録されており、自然遺産を含めて国内6か所目の登録となった。
1996年01月 わが国の文化・社会の発展に多大な貢献をした個人・団体に贈られる朝日賞受賞者を選ぶ財団法人朝日新聞文化財団(理事長・中江利忠朝日新聞社長)の選考委員会は、1995年度の受賞者6件7氏を決定した。美術関係では画家の故丸木位里・俊夫妻が「原爆、戦争、公害などをテーマに描き続けた長年の画業」によって受賞。贈呈式は22日、朝日新聞社東京本社で行われた。これで第1回以来の同賞受賞者は361人と24団体となった。
1995年11月 日本芸術院(犬丸直院長)は17日、今年度の会員補充選挙を行い、あらたに6人を新会員に内定した。美術関係では洋画の織田広喜(81)、平松譲(81)、彫塑の長江録弥(69)が選ばれた。総会の承認後、12月15日付けで島村宜伸文相が発令する。
1995年11月 文化財保護審議会(鈴木勲会長)は24日、鳥取県淀江町の上淀廃寺跡など4件を新たに国の史跡に指定するよう島村文相に答申した。これで国の史跡指定は1371件となった。
1995年11月 企業や企業財団による優れた芸術文化支援活動を表彰する「メセナ大賞」’95(社団法人企業メセナ協議会主催)が決定。25都道府県から自薦、他薦116件の応募があり、美術関係では財団法人京都服飾文化研究財団による「モードのジャポニズム」展開催などの活動に審査委員特別賞が贈られ、育成賞にパルコの「URBANART」の開催、企画賞に三菱広報委員会のアジア子供アートフェスティバル開催が選ばれた。